愛知県 造園 理念

孝久苑の理念

いつもお世話になっております、作庭処孝久苑の住田孝彦です。
当事業所では、ご依頼下さいましたお施主様のご要望、ご意見などをよくお聞きして、お施主様とご一緒に考え、理想のお庭に仕上がる様、お手伝いをさせて頂いております。
ある方が私の庭を見て「住田さんの庭は細かいところまで造りすぎないところがいい…」「親近感が湧く…」といって下さいました。
私の意図を察してくれたかな、とそのとき思いました。私自身お庭を造らせていただくときに、「こちらはお家の方、お好きなようにお使いください…」といったようなスペースをなるべく多く設けるように心掛けています。

兎角、庭師さんは細かいところまでひとりよがりに自分の思い通りに造り過ぎてしまう傾向があります。
そうするとお家の方が「触れてはいけない」という感が生じてまいります。
京都などでは観光客が踏み入ってはいけないと感じるくらいきれいにされ過ぎているお庭があちこちにあります。お庭が聖域化されているとでも申せましょうか、こちらが気構えをしないと立ち入りにくいお庭…。たまに訪れる観光地ならばこのような緊張感は新鮮ですが、我が家でもこの調子ですと、落ち着くどころか肩が凝ってかえってストレスがたまってしまいます。お庭は私たち庭師のものでもなければ、他人のものでもありません。ご自身のお庭くらい自由に踏み込んで、触って、レイアウトされて(的をはずしすぎる場合は助言させていただきますが…)、楽しまれるのが本来のお庭かと考えます。そうでないとお庭を持つ意味も価値もありません。

03.jpg好みは十人十色です。ご自身が本当にいいと思える、“心底くつろげて、手放しに喜べる唯一の空間”
…そのようなお庭を提供できれば…と常々思っています。
また私たち庭職に就いている者にとりまして、お庭だけでなく“屋内屋外を問わず日常生活を円滑に、快適に過ごせるよう工夫させて頂くこと”も役目であろうかと考えます。お家の中の間取りや、家具、電化製品またそれらの配置などすべて普段の暮らしの中で、おっくうなく、支障なく、使い勝手の良い機能性、実用性をまず最優先して考えられると思います。

02.jpgお庭もまた然りです。現代においては、家が建てば次に考えなければならないのは車様の居場所、駐車場(駐車場も立派なお庭)です。車を降りられてから向かうは玄関。その道すがら、無理なく歩調が進められ歩きやすく、なおかつ見た目にやさしく、楽しませてくれる緑やお花などが適所にあればけっして不愉快ではないでしょう。お家の方が郵便物を受け取る、さらには配達してくれる人にもやさしいポストの位置、門扉の位置、またそれらのデザインや、敷地の周りに塀や垣根などをめぐらせる場合、それらが仕切り一辺倒の機能だけでよいのか、土留め(高低差の処理)を兼ねるのか隣地とのプライバシーの保護(目隠しなど)を目的とするのか、距離、高さ、デザインにいたるまで総合的に計画を立て理想に近づけていく必要があるのではないでしょうか。

計画が煮詰まり、工事の段階におかれましては、お時間とお気持ちがございましたらどんどんお庭造りに参加してみてください。お忙しい毎日でいつしか自然の植物や石に触れる機会が遠のいてしまいがちかと思いますので、是非素材に触れてみてください。五感を刺激しながら景色が構築されていく過程を体感してみることで新しい新天地が開かれるかもしれません。
景色を構築する上でかなり重要なポイントとなるのが草花や樹木などの植物でしょう。お庭の骨格とでもいえる、石組や石積み、アプローチなどの造形物だけの景色に、肉や衣にたとえられる樹木をあしらいますと景色は急変(良い方に)いたします。よいお庭かどうか一概に判断しにくいですが、植物の魅力が最大限に生かされているかということが良いお庭かどうかのひとつの基準にはなろうかと思います。葉っぱ一枚、枝一本人間の力では作れません。自然が主役です。人間の驕りや傲慢さが出ているお庭はけっして良いお庭とはいえないでしょう。

01.jpg皆様方もご存知のとおり、樹木は季節に応じて変化いたします。有り難いことに日本には四季があります。春にはお花見、新緑、秋には紅葉狩りなどお好きな方は観光スポットへ足を運ばれます。樹木や草花に趣味がおありでしたら、植物を計画的に植えられて、ご自分のお庭で移ろい行く四季を満喫できたらどれほどすばらしいことでしょう。せっかく四季があるのですからこれを愛でないという話はないと思います。ご自分のお庭をプチ観光スポットにされてみてはいかがでしょう。

できあがりましたお庭は、完成直後が一番美しい状態であるとは限りません。草取り、清掃が必要な場面ではしっかりとそれを実行し、100%成長して大きくなる樹木は時を見計らってきちんと剪定してやらなければなりません。的を得た管理さえしっかりとしていれば、お庭は年々良くなってゆきます。土、草木、石が誠によくなじんでゆきます。どこからか飛んできた種や、鳥が運んできた種で草木が芽吹き、お庭が一人歩きをし始めたらさらに深い味わいが出てきます。ここまできたら私ども庭職人は、あとは黒子として管理に務めさせていただくのみです。せっかく拵えたお庭を荒庭、廃園にしないようにすべきでしょう。実はお庭を造ることよりも、維持管理の方がうんとうんと大切であり、難しいことのように思います。

長々と駄文にお付き合いくださいましてありがとう御座いました。私の常々思っていること、頭をよぎったことなどを文章にしてみました。
今後ともお客様にかわいがられる植木屋になるために精進してまいりますので何卒相変わりませずにご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。